「夜勤をすると寿命が縮む」――この噂を聞いたことはありませんか?
特に看護師の間でよく話題になるこのテーマですが、実は工場勤務や警備員、運輸業、コンビニ店員など、あらゆる夜勤労働者に共通するリスクが存在します。
「まだ20代だし大丈夫」と思っていても、夜勤が体に与える影響は確実に蓄積されていきます。しかし、科学的根拠を知り、正しい対策を取れば、リスクは大幅に軽減できるのです。
本記事では、看護師の勤務実態と論文データを軸に、全ての夜勤労働者が知っておくべき健康リスクと、科学的根拠に基づいた対策を徹底解説します。
【結論】「夜勤をすると寿命が縮む」は本当なのか?

結論から言えば「リスクは存在する」が正解
結論から言うと、「夜勤をすると寿命が縮む可能性はある」というのが科学的なコンセンサスです。ただし、これは「夜勤をしたら必ず早死にする」という意味ではありません。
主要な研究データ
■ Nurses’ Health Study(米国の大規模追跡調査)
- 対象:約7万人の女性看護師
- 結果:22年以上夜勤を続けた看護師は、心血管疾患のリスクが約19%増加
- 5年未満の夜勤では、リスクはほとんど増加しない
この研究は、ハーバード大学医学部が中心となって実施した世界最大規模の追跡調査です。
※参考:Harvard Medical School「Night Shift Risks」
https://hms.harvard.edu/news/night-shift-risks
※参考:American Heart Association「Prospective Study of Shift Work and Risk of Coronary Heart Disease in Women」
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/01.CIR.92.11.3178
■ 日本の研究データ
- 厚生労働省の調査では、夜勤・交代制勤務者は日勤者に比べて生活習慣病のリスクが1.2〜1.5倍
- 特に睡眠障害、メンタルヘルス不調の割合が高い
※参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
※参考:過労死等防止調査研究センター「夜勤・交替制勤務」
https://records.johas.go.jp/article/21
💬【先輩の一言】
「新人の頃は『若いから大丈夫』って思ってたけど、3年目くらいから明らかに疲れが取れなくなった。データを見て『やっぱりか』って納得したよ。」
一般職と比較した場合の看護師の平均寿命
「看護師は短命」という噂がありますが、実際のデータはどうでしょうか?
日本の統計データ
日本看護協会や厚生労働省の統計では、看護師の平均寿命が一般職より明確に短いというデータは確認されていません。
ただし、以下のようなリスクは確認されています:
| 項目 | 日勤中心の職業 | 夜勤・交代制勤務 |
|---|---|---|
| 睡眠障害 | 低 | 高(約2倍) |
| 心血管疾患リスク | 基準 | 1.2〜1.5倍 |
| メンタルヘルス不調 | 基準 | 1.3〜1.8倍 |
| 生活習慣病 | 基準 | 1.2〜1.5倍 |
※参考:厚生労働省「長時間労働医師への健康確保措置に関するマニュアル(改訂版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001214392.pdf
つまり、「寿命が縮む」というより、「健康リスクが高まる」というのが正確な表現です。
夜勤が健康に与える影響とは?論文・研究データから解説

夜勤が健康に与える影響は、主に以下の3つのメカニズムで説明されます。
体内リズム(概日リズム)の乱れ
人間の体は、約24時間周期の「体内時計」によって調整されています。この体内時計は、睡眠ホルモン(メラトニン)や体温、血圧などをコントロールしています。
夜勤がもたらす影響
- メラトニン分泌の抑制:夜間に光を浴びることで、睡眠ホルモンの分泌が妨げられる
- コルチゾール(ストレスホルモン)の異常分泌:本来下がるべき時間帯に上昇
- 体温リズムの乱れ:深部体温の調整が狂い、睡眠の質が低下
※参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
💬【先輩の一言】
「夜勤明けって、どれだけ寝ても『ちゃんと寝た感』がないんだよね。体内時計が狂ってるって実感する。」
心血管系・メンタルヘルスへのリスク
心血管疾患リスクの増加
夜勤による睡眠不足とストレスは、以下のリスクを高めます:
- 高血圧:交感神経の過剰な活性化
- 動脈硬化:慢性的な炎症反応
- 心筋梗塞・脳卒中:長期的な夜勤で約1.2〜1.5倍のリスク
※参考:PubMed Central「Association between night shift work and cardiovascular disease」
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12506678/
メンタルヘルスへの影響
- うつ病リスク:夜勤労働者は日勤者の約1.4倍
- 不安障害:睡眠不足が脳の感情調整機能を低下させる
- バーンアウト(燃え尽き症候群):特に看護師、介護士に多い
※参考:CDC(米国疾病予防管理センター)NIOSH「Module 3. Diseases and Shift Work」
https://www.cdc.gov/niosh/work-hour-training-for-nurses/longhours/mod3/15.html
がんリスクとの関連性
国際がん研究機関(IARC)は、夜勤を「発がん性の可能性がある要因(Group 2A)」に分類しています。
主な関連が指摘されているがん
- 乳がん:夜間の光曝露によるメラトニン減少が、エストロゲン代謝に影響
- 大腸がん:概日リズムの乱れによる免疫機能低下
- 前立腺がん:ホルモンバランスの変化
ただし、これらは長期間(10年以上)の夜勤継続で初めて有意なリスクとなります。短期間の夜勤では過度に心配する必要はありません。
※参考:国際がん研究機関(IARC)「IARC Monographs Volume 124: Night Shift Work」
https://www.iarc.who.int/news-events/iarc-monographs-volume-124-night-shift-work/
※参考:NCBI Bookshelf「Night Shift Work」
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK568195/
💬【先輩の一言】
「がんのリスクは正直怖いけど、定期検診をちゃんと受けて、早期発見できれば対処できる。知識があるって大事。」
看護師の夜勤勤務体制を徹底解説(2交代 vs 3交代)

看護師の夜勤体制は、主に2交代制と3交代制の2種類があります。それぞれの特徴とリスクを見ていきましょう。
2交代制の実態
勤務時間
- 日勤:8:30〜17:30(約9時間)
- 夜勤:16:30〜翌9:30(約16〜17時間)
- 月の夜勤回数:平均4〜5回
メリット
- 夜勤の回数が少ない
- 夜勤明けの休みが実質2日分になる
デメリット
- 1回の夜勤が長時間(16時間超)
- 仮眠時間が1〜2時間程度しか取れない
- 疲労の蓄積が大きい
3交代制の実態
勤務時間
- 日勤:8:30〜17:00(約8時間)
- 準夜勤:16:00〜翌0:30(約8時間)
- 深夜勤:0:00〜9:00(約8時間)
- 月の夜勤回数:準夜勤・深夜勤合わせて8〜10回
メリット
- 1回の勤務時間が短い
- 体への負担が分散される
デメリット
- 夜勤の回数が多い
- 生活リズムが複雑になる
- 「準夜→深夜」の連続勤務が辛い
どちらが健康リスクが低い?
研究データでは、どちらが絶対的に優れているとは言えないという結果が出ています。
| 比較項目 | 2交代制 | 3交代制 |
|---|---|---|
| 1回の負担 | 大きい | 小さい |
| 頻度 | 少ない | 多い |
| 生活リズム | 調整しやすい | 複雑 |
| 向いている人 | 体力がある人 | リズム調整が得意な人 |
※参考:日本看護協会「夜勤・交代制勤務ガイドライン」
https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/guideline/yakin_guideline.pdf
💬【先輩の一言】
「私は2交代の方が合ってた。夜勤明けの『開放感』がモチベーションになってたかも。でも人それぞれだよね。」
看護師だけじゃない!他の夜勤職種の実態とリスク

夜勤による健康リスクは、看護師だけの問題ではありません。ここでは代表的な夜勤職種とそのリスクを紹介します。
製造業・工場勤務
勤務体制
- 2交代制:日勤(8:00〜20:00)、夜勤(20:00〜翌8:00)
- 3交代制:各8時間×3シフト
- 月の夜勤回数:10〜15回
特有のリスク
- 騒音環境による聴覚ストレス
- 機械操作中の事故リスク(眠気による注意力低下)
- 単調作業による精神的疲労
運輸業(トラック運転手、タクシー運転手)
勤務体制
- 不規則:配送スケジュールに依存
- 長距離運転の場合、仮眠は車内が多い
特有のリスク
- 睡眠時無呼吸症候群のリスク増加
- 長時間座位による血栓症リスク
- 事故リスク(社会的影響も大きい)
※参考:厚生労働省「トラック運転者の労働時間等に係る実態調査事業 報告書」
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000883704.pdf
※参考:国土交通省「トラック輸送における長時間労働の実態調査」
https://www.mlit.go.jp/common/001108483.pdf
警備員・コンビニ店員・介護士
共通するリスク
- 単独勤務が多く、緊張感が持続
- 仮眠環境が整っていないケースが多い
- 人手不足で休憩が取りにくい
看護師との共通点と相違点
共通するリスク
- 概日リズムの乱れ
- 心血管疾患リスク
- メンタルヘルス不調
看護師特有の要素
- 感情労働(患者・家族への対応)
- 急変対応のプレッシャー
- 医療事故のリスク
※参考:日本看護協会「2021年度他業種の夜勤・交代制勤務に関する情報」
https://www.nurse.or.jp/nursing/assets/jigyo_hokokusyo_2.pdf
💬【先輩の一言】
「友達が工場勤務で夜勤やってるけど、話を聞くと『疲れの質が違う』って感じる。でも根本的な対策は同じなんだよね。」
持病がある場合は要注意!夜勤リスクが高まる条件とは

夜勤は健康な人でも負担が大きいですが、特定の持病や体質を持つ人は、より慎重な判断が必要です。
夜勤を避けるべき・慎重に検討すべき持病
絶対的禁忌ではないが、医師相談が必須
- 糖尿病:血糖コントロールが乱れやすい
- 高血圧:夜間高血圧のリスク
- 睡眠時無呼吸症候群:夜勤で症状が悪化
- てんかん:睡眠不足が発作の誘因に
- うつ病・不安障害:症状の悪化リスク
- 片頭痛:生活リズムの乱れがトリガーに
※参考:厚生労働省「長時間労働医師への健康確保措置に関するマニュアル(改訂版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001214392.pdf
自分の健康状態をチェックする方法
以下の項目に3つ以上当てはまる場合は、産業医や主治医に相談を検討してください。
セルフチェックリスト
- □ 夜勤明けに強い動悸や頭痛がある
- □ 休日でも疲れが取れない
- □ 食欲不振または過食が続く
- □ 気分の落ち込みが2週間以上続く
- □ 眠りたいのに眠れない(不眠)
- □ 仕事中に強い眠気で危険を感じたことがある
- □ 血圧や血糖値が健康診断で指摘された
医師や産業医への相談タイミング
こんな時はすぐに相談を
- 健康診断で異常値が出た
- 服薬中の薬がある
- 妊娠・授乳中
- 体調不良が1ヶ月以上続く
相談先
- 産業医:勤務先の産業医(いる場合)
- 主治医:かかりつけ医
- 保健師:職場の健康管理部門
💬【先輩の一言】
「私は片頭痛持ちだったけど、産業医に相談して夜勤の回数を調整してもらえた。我慢しないで相談するって大事。」

夜勤をしながら健康を守るための対策5選

夜勤のリスクは理解できましたが、適切な対策を取れば、リスクは大幅に軽減できます。ここでは科学的根拠のある5つの対策を紹介します。
1:睡眠の質を高める工夫
夜勤明けの睡眠環境
- 遮光カーテン:完全に光を遮断する
- 耳栓・アイマスク:外部刺激をシャットアウト
- 室温調整:18〜20℃が理想
- 入浴:ぬるめのお湯(38〜40℃)でリラックス
仮眠の取り方
- 15〜20分の短時間仮眠:深い睡眠に入る前に起きる
- カフェイン仮眠:仮眠前にコーヒーを飲むと、目覚めがスッキリ
※参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
2:食事・栄養管理のポイント
夜勤前の食事
- 低GI食品:玄米、全粒粉パンなど、血糖値が緩やかに上昇する食品
- タンパク質:鶏肉、魚、豆腐など
夜勤中の食事
- 避けるべきもの:脂っこいもの、大量の糖質
- おすすめ:おにぎり、バナナ、ナッツ類
夜勤明けの食事
- 軽めに済ませる(消化に負担をかけない)
- 重い食事は睡眠の質を下げる
3:運動・ストレッチの習慣化
おすすめの運動
- 軽いウォーキング:20〜30分
- ヨガ・ストレッチ:自律神経を整える
- 筋トレ:週2回程度、適度な負荷で
夜勤中のストレッチ
- 首・肩周りをほぐす
- 腰痛予防のストレッチ
- 深呼吸で自律神経を整える
4:メンタルケアとサポート体制の活用
メンタルケアの方法
- マインドフルネス瞑想:5分でもOK
- 趣味の時間:リフレッシュタイムを確保
- 同僚との雑談:孤独感の解消
サポート体制の活用
- 職場のカウンセリング制度
- 同僚・先輩への相談
- 外部の相談窓口(産業保健総合支援センターなど)
5:定期健診と産業医の活用
定期健診で必ずチェックすべき項目
- 血圧
- 血糖値
- 脂質(コレステロール、中性脂肪)
- 肝機能
- メンタルヘルスチェック
産業医の活用
- 年1回の面談を活用
- 勤務調整の相談
- 健康診断結果のフォローアップ
💬【先輩の一言】
「最初は『健康管理なんて面倒』って思ってたけど、習慣にしたら体調が全然違う。未来の自分への投資だと思ってる。」
まとめ:「夜勤をすると寿命が縮む」は本当だが、対策次第で変わる

本記事のポイント
- 「夜勤で寿命が縮む」は科学的根拠がある
長期間の夜勤は心血管疾患やがんのリスクを高める可能性がある。 - リスクは「適切な対策」で大幅に軽減できる
睡眠、食事、運動、メンタルケア、定期健診が重要。 - 看護師も一般職も、基本的なリスクは共通
職種による違いはあるが、対策の基本は同じ。 - 持病がある場合は早めに相談を
我慢せず、産業医や主治医に相談することが大切。 - 20代のうちから健康管理を習慣化する
若いうちからの対策が、将来の健康を守る。
最後に
「夜勤をすると寿命が縮む」――この事実に不安を感じたかもしれません。しかし、知識があれば、対策が取れます。対策が取れれば、リスクは減らせます。
夜勤は決して「悪」ではありません。社会を支える重要な仕事であり、あなたの努力は多くの人の役に立っています。
だからこそ、自分の健康を大切にしながら、長く続けられる働き方を見つけてください。
この記事が、あなたの健康な夜勤ライフの一助となれば幸いです。

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